住宅ローンを斡旋・媒介するには、原則的に貸金業資格の取得が義務づけられています。
例外として、不動産仲介業者、住宅販売業者、住宅建設業者は、自社の取扱い物件に限り、貸金業資格がなくても住宅ローンの斡旋・媒介をすることが認めらています。このような不動産の売買等に不随して起こる「不随業務」として、貸金業の資格なしでの取り扱いが認められているのです。
従って、住宅販売業者が貸金業取得を持っていなくても、取扱物件の住宅ローンの斡旋は、法律上は問題ありません。
質問者の問題意識としては、不正な形で融資が実行された場合、借入人は誰に損害賠償請求できるのか、ということであれば、当然にして仲介業者でよいと思います。
今回のスルガ銀行のケースでは、銀行員が不正をしているため、銀行に対して損害賠償請求を行っています。仲介業者が不正をし、それが原因で損害が発生していれば、住宅ローンを融資している銀行ではなく、仲介業者が対象になるでしょう。
ただし、損害が発生した原因が仲介業者にあること立証しなければならず、これは困難なことと思われます。
というのは、不正があって住宅ローンが通ったとしても、その不正が原因で損害が発生するという因果関係が成立しづらいからです。収入等の証明書を改竄して審査に通ったとしても、それが適正な金額よりも大きいことは、自分で申請する段階でわかるはずです。
例えば年間200万円の収入を500万円に改竄したとしても、本人は4000万円の融資の返済ができないことは、すぐにわかるはずです。よって、仲介業者の不正で審査に通ったので返済ができなかった、という主張は受け入れられないでしょう。
また、仮に損害賠償請求が認められても、回収は簡単ではありません。
貸金業者であれば、一定の純資産を有していることが義務づけられているので、損害賠償請求した場合に、支払原資が少なくとも純資産分はあると期待できますが、不随業務で斡旋している業者にはそのような義務がないため、必要な金額を回収できないリスクが高いと言えます。
結論として、住宅ローンの融資で不正があるないにかかわらず、資金計画をたてて、融資返済に問題があるかどうか、自分で確認すれば、気にする必要はないと考えます。
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