変動金利型住宅ローン 毎月の返済額が1.25倍になる危険について
ひと昔まえは、住宅ローンといえば固定金利でした。そのとき、民間銀行が取り扱っている住宅ローンの大半は、住宅金融公庫の全期間固定型の住宅ローンでした。
いま、住宅金融公庫は、住宅金融支援機構となり、全期間固定型の【フラット35】を提供していますが、当時と比較しシェアもかなり低下しております。そして、民間の銀行の多くは、変動金利型の住宅ローンを推進しており、住宅ローン契約者の半数近くが変動金利型を選択しています。
今回は、変動金利型の特徴である、金利が変動することについてお話しします。また、超低金利の現在、金利が変動するということは、金利が上昇することとほぼ同義という状況であると理解して読み進めていただくのがよいでしょう。
- 目次 -
変動金利型住宅ローンの金利の決まり方
基本的に、変動金利型の住宅ローンの金利は、短期プライムレートを基準に決められています。多くの商品は、毎月金利が変動するのではなく、6ヶ月に一度、適用金利の見直しを行っています。詳しくは、以下のシェンロンニュースをご覧ください。
<金利の決まり方> 短期金利 と 変動金利型の住宅ローン金利
変動金利型住宅ローンの返済額の見直し
適用金利は、通常半年ごとに見直され、毎回の返済額は、元利均等返済の場合は通常5年ごとに見直されます。(元金均等返済の場合は通常金利変動とともに返済額も見直されます。)
適用金利は半年に一度見直されますが、毎月の返済額は見直されないということは、金利が上昇してくると毎月の利息は増えるので、返済額が変わらないために元金の返済額が当初予定よりも少なくなってしまうということです。
また、適用金利が上昇すると、5年ごとに見直される毎月の返済額は増えることになります。どの程度増えるかは、適用金利の上昇幅によりますが、一般的に「125%ルール」といわれる返済額の増加に上限を設ける制度があるので、返済額の増加はそれまでの返済額の25%アップが上限となります。
変動金利型住宅ローンで発生する未払い利息
適用金利が上昇しても、5年間は返済額が一定ですので、返済額への影響はなく安定した家計の運営ができます。しかしながら、適用金利が上昇しているのに返済額が変わらないということは、毎月の返済額に占める利息返済分が増えて、元金返済分が少なくなっていることになります。更に適用金利が上昇すると、毎月の返済額ではその月の利息分も返済できなくなり、返済できなかった利息分が未払い利息となります。
未払い利息は、適用金利が下がるなど、毎月の返済額よりもその月の利息の額が少なくなったら、元金より優先されて返済されていきます。また、5年毎の返済額の見直しで、返済額が増えることにより未払い利息が解消されていく場合もあります。
適用金利がどの程度上昇すると未払い利息が発生するか
適用金利がどの程度上昇すると未払い利息が発生するのでしょうか。あくまでも概算ですが、以下のような前提でシミュレーションしてみると、適用金利が2.4%上昇すると、未払い利息が発生することになります。返済期間が長いほど、返済金額に占める元金部分の比率が低いため、未払い利息が発生しやすくなります。
★(借入時)
借入金額:3,000万円 返済期間:35年(元利均等方式) 適用金利:1.0%⇒ 初回返済額:84,685円
(内元金返済額:59,685円 内利息返済額:25,000円)★(どのくらいの金利で、1ヶ月の利息額が初回返済額を超えるか)
借入金額:3,000万円 適用金利:3.4%⇒ 1ヶ月の利息:84,999円
※適用金利が3.4%となると、毎月の返済額84,685円を越える利息が発生する
※分かりやすいように、初回返済時を基準に計算しています。返済が進むほど残元金が減り、1ヶ月の利息額が毎月返済額を超えるような金利の値は上昇していきます。
返済額の見直時の125%ルールについて
先ほども触れましたが、5年ごとの返済額見直し時には、一般的に「125%ルール」といわれる返済額の増加に上限を設ける制度があります。「125%ルール」が適用されると、適用金利がいくら上昇していても、返済額の増加はそれまでの返済額の25%アップが上限となります。
このように、住宅ローンの債務者に対して、急激に金利が上昇しても、住宅ローンの返済により家計がなるべく破綻しないような仕組みになっています。
しかしながら、本来、元利均等返済で毎月返済するはずの金額を返済しないのですから、予定通りに元金が減っていかず、場合によっては、最後にまとめて未返済分の元金を返済することになります。
毎月の返済額が1.25倍になる危険について
ここまでお読みいただいた方にはお分かりのことと思いますが、「125%ルール」というのは、5年ごとの返済額見直し時に返済額が1.25倍までを上限とするルールですので、極端な話をすると、このようなことが2回連続すると、10年後には毎回の返済額が1.56倍になる可能性があります。さらに3回連続すると1.95倍まで上昇します。
せっかくですので、金利がどの程度上昇すると、毎月の返済額が1.25倍になるかシミュレーションしてみましょう。以下のような前提をおくと、適用金利が1.6%上昇することにより、毎月の返済金額が約1.25倍になります。
★(借入時)
借入金額:3,000万円 返済期間:35年(元利均等方式) 適用金利:1.0%⇒ 5年間返済後の残元金:2,633万円 毎月返済額:84,685円
★(5年経過後)
残元金:2,633万円 残返済期間:30年 適用金利:2.6%⇒ 毎月返済額 105,409円
※5年後に適用金利が1.6%上昇して2.6%になると、毎月返済額が約1.25倍になる
さいごに
現在、超低金利が続いておりますが、今後どのような金利の動きになるのかはっきりとしたことはいえません。そのような中、敢えていえるとしたら、今後、金利は大幅に下がることはなく、金利は上がるか、現状維持かのどちらかであるということです。
金利の上昇への備えをしていない方は、これを機会に、金利上昇時の心構えだけでも持っておいていただければと思います。
~ おまけ50 ~
「愛は勝つ」と
歌う青年
勝った後の
長き闘い
知っているかい
~ おまけ49のもと ~
思ひつつ
寝ればや人の
見えつらむ
夢と知りせば
覚めざらましを
(小野小町)
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初代ウルトラマンから最新のウルトラマンルーブを現在も見ている、ウルトラマンファンとしては複雑な心境です。