ずぶの素人の法律入門 刑法(1) 刑罰としての死刑は残虐か?
もし、あなたが法律のずぶの素人でしたら、もしかしたら、ここで得た知識が世知辛い世の中を渡り歩く手助けになることがあるかもしれません。
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では、始めましょう。六法とは、日本における主要な6つの法律である憲法、民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法のことです。そして、刑法は、犯罪についての法です。
最初に寄り道、刑罰としての死刑は残虐か?
刑法9条「死刑、懲役、禁固、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。」で、刑の種類として、死刑が規定されています。そして、刑法11条1項「死刑は、刑事施設内において、絞首して執行する」により、死刑は首を絞める方法で執り行うということになっています。
日本国憲法の第36条「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」で、残虐な刑罰は禁止されています。それも、絶対に禁止です。
でも、憲法31条「何人も、法律の定める手続きによらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」では、法律の定める手続きによれば、生命を奪う刑罰を科すことができるとされています。
ということで、ここでの結論は、首を絞めることによる死刑は残虐ではないということです。残虐とは、火あぶりとかムチ打ちの刑のことを指しているのでしょうか、、、。
一部の国では、すでに死刑が廃止されていますが、日本では、罪を犯したときの刑罰として死刑が認められております。また、憲法違反ではないとされています。
刑法第一条(国内犯)
それでは、「こども六法(光文社)山崎聡一郎」を参考にして、刑法の条文に進んでいきましょう。
第一条 この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
2 日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。
2 日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。
刑法は、日本人のみならず、日本に来ている外国人にも適用されます。
では、外国に行っている日本人に、日本の刑法は適用されるのでしょうか?
では、外国に行っている日本人に、日本の刑法は適用されるのでしょうか?
日本国外で国内法に違反する行為をした場合には、原則として国内法が適用されないので処罰されません。
原則として適用されないということは、例外があるのでしょうか?その答えが、内閣法制局のHPの「法律の窓」で確認できます。
刑法(明治40年法律第45号)は、第1条第1項で「日本国内において罪を犯したすべての者に適用する」と原則を定める一方で、同条第2項等でその例外を定めています。例えば、次の場合は、日本国外で刑法違反の行為をしていますが、その行為者には刑法が適用されます(第1条第2項等参照)。
① 公海上を飛行する日本航空機内において、暴行して傷を負わせた場合
② 海外において、行使の目的で1万円札を偽造した場合
③ 海外において、日本国民が住居に放火した場合
④ 海外において、日本国の公務員が職務に関し賄賂を収受した場合
①②の場合は、その行為者が日本国民に限定されませんが、③の場合は、その行為者が日本国民に、④の場合は、その行為者が日本国の公務員に限定されます。①から④までの場合で行為者の要件が異なるのは、刑罰を科す趣旨がそれぞれ異なるからです。すなわち、①の場合は、日本航空機内での犯罪を日本国内での犯罪と同様に扱う旗国主義に基づいて、②の場合は、国家的利益、社会的利益を守る保護主義に基づいて、③の場合は、日本国が日本国民に対して統治権を行使する属人主義に基づいて、④の場合は、属人主義及び日本国の公務の公正さに対する国民の信頼等を守る保護主義に基づいています。
外人が海外で日本の貨幣である1万円札を偽造した場合には、刑法が適用されるという事のようです。この場合は刑法148条(通貨偽造及び行使等)が適用されるのでしょうね。
第百四十八条 行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
2 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
刑法の一回目は、この辺で終わりにします。今回も、たぶんこれからも、「こども六法(光文堂)山崎聡一郎」と「刑法入門(岩波新書)山口厚」を参考にさせていただきます。
それでは、次回をお楽しみに。
それでは、次回をお楽しみに。
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