住宅ローンの選び方(その2)住宅ローン商品の比較
前回の住宅ローンの選び方(その1)では、銀行などの金融機関の選び方について説明しました。地元の金融機関に、全国展開しているメガバンクや信託銀行、またはインターネットで活躍するネットバンク、さらにはフラット35 などの住宅ローンを専門に取り扱うモーゲージバンクと、数ある金融機関の中からベストな金融機関を選ぶのは、多くの時間と労力がかかることと理解いただけたと思います。
今回は、多くの住宅ローン商品の中から、自分にとって最適な住宅ローンをどのようにして選ぶかというお話をさせていただきます。
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元利均等方式と元金均等方式
毎月の返済額が一定となる元利均等方式(割賦元金と割賦利息の合計が一定)と、毎月の返済元金を一定にしたうえに毎月の利息を支払う元金均等方式(一定の割賦元金に割賦利息を加算)があります。
元利均等方式は、毎月の返済額が一定のため、返済計画を立てやすく、住宅ローンでは最も多く利用されています。元利均等方式は、金利が高くなると利息分の返済が多くなり、元金がなかなか減らないという現象がおこりますが、昨今は、住宅ローン金利が低く抑えられているため、順調に元金が減っていきます。
元金均等方式は、毎月一定の元金を返済して、そのうえで毎月の利息を返済します。元金均等方式のよいところは、金利に関係なく元金が一定の割合で減っていくところです。3,000万円を30年ローンで借入れて10年間返済したら、元金均等方式では残りの元金は2,000万円になります。元利均等方式では、同じ額のローンを10年間返済しても金利が3%の場合には残りの元金は2,300万円弱となります。そのかわりに、毎月の返済額をみると、元金均等方式は元利均等方式に比べ、初期の返済額が多くなっています。これは、毎月の利息が元金に比例することから、元金が多いローン借り入れ当初は利息が多くなり、結果として毎月の返済額も多くなってしまいます。
このようなことから、元利均等方式は、収入が安定していて年功序列的な賃金が見込めて、これから子育てなどの生活費が上昇していくであろう若い世代に向いているのではないでしょうか。反対に、元金均等方式は、既に順調に稼いでいる個人事業主の方や、給料がある程度ピークに達しているシニアの給与所得者など、収入があるうちに早めに返済したい人に向いているのではないでしょうか。
変動金利か全期間固定金利か当初固定金利か
変動金利か固定金利かについては、様々なところで議論されております。今後金利が上昇するのか、当面は低金利のままで推移するのか、金利が上昇するにしても徐々に上昇するのか、急激に上昇するのか、今後の金利情勢によりベストな選択肢は異なります。
皆さんが望むような低リスク・高リターンの選択があればよいのですが、そのような都合の良い選択肢はそうそうありません。資金的な余裕がある人は、リスクを取ってでも得をするという選択肢が選べます。しかしながら、資金的に余裕がない人は、得をすることよりもリスクを少なくする選択肢を選ぶことがよいのではないでしょうか。資金的な余裕がない人が目の前のお得感を優先させてリスクを取ってしまうと、将来的に返済額がアップしたときに資金的な余裕がないことにより、結果的に家計の破綻につながってしまいます。
5年以内の当初固定金利型を選択することの意味について
当初○年固定金利という住宅ローン商品があります。○年が5年以下の場合には、よくよく考えて、変動金利よりも明らかにメリットがある場合にのみ選択するのがよいのではないでしょうか。変動金利は、金利が変動してしまうため怖そうだから、当初○年固定の住宅ローンを選ぼうとしているのであれば、当初○年固定の住宅ローンも○年経過後は変動金利に切り替わります。そのときに再度固定金利を選べる場合もありますが、変動金利から固定金利に切り替えることとほぼ同じことです。
また、当初○年後に金利の優遇幅が変更になる住宅ローン商品が多いことにも注意する必要があります。後でも触れますが、店頭金利から金利の優遇幅を引いた金利が借入に適用される金利となっていますが、その金利の優遇幅が、当初○年間のみ優遇されている場合があります。このようなことは、金利が上がり返済額が多くなるという大切なことながら見逃しがちになってしまいます。
住宅ローンの商品を理解するのは難しい
住宅ローンの商品を正しく理解して適切に比較することは、ある程度金融に詳しい人でも、なかなか難しいものです。金融機関は企業努力として、新しい住宅ローン商品を企画しています。これは素晴らしいことだと思いますが、結果として、住宅ローンの商品を比較するのが難しくなってきています。金利の数字だけではなく、元利均等か元金均等か、変動か固定か、固定期間を何年にするか、など様々な選択が必要です。そして、住宅ローン商品により、金利の優遇期間が異なり、最近では団体信用生命保険の保険内容に幅がでてきております。さらに、ポイント付与とか、グループ内の買い物の割引とか、様々な特典が提供されてきています。また、手数料についても、商品により金額も異なりますし、定額方式、定率方式など計算方法も異なります
住宅ローンの商品説明の一例
金融機関のホームページには、その金融機関が取り扱っている住宅ローンの説明が載っています。以下にその事例を載せてみます。同じ金融機関の商品でも比較が難しいところ、他の金融機関の商品と比べるのは更に難しいことです。
(A銀行のHPの住宅ローン説明の抜粋)
・審査の結果により、金利差し引き幅は決定します。
・上記期間内に次の適用条件を満たし、同銀行で新たにローン取扱手数料定率型にて住宅ローンをお借入れされた方は、借入利率をお借入れ期間中、完済まで店頭表示利率から最大年1.92%(最小年0.30%)を差し引かせていただきます
・8つの疾病保障のついた<8疾病保障付住宅ローン>をご利用の場合、お借入利率が年0.3%高くなります。
・上皮内ガン・皮膚ガン先進医療保障特約付のついた<ガン保障特約付住宅ローン>をご利用の場合、お借入利率が年0.1%高くなります。
ローン取扱手数料:次の①②よりご選択いただけます。
①定額型:108,000円(税込)
②定率型:お借入れ金額の2.16%(税込)【最低取扱手数料216,000円(税込)】
※ 定額型をご選択された場合、定率型にくらべお借入れ利率が年0.2%高くなります。
(B銀行のHPの住宅ローン説明の抜粋)
・本金利プラン適用による金利引き下げ幅は、お申込内容や審査結果等によって決定いたしますので、ご留意ください。
・表示の金利は保証料外枠方式です。保証料内枠方式の場合、保証料外枠方式に比べご融資利率が年0.2%高くなります。
・「住宅ローン審査申込アプリ」からの申込なら、追加▲年0.05%引き下げができます。
・お借入期間中、最後までその選択時点での店頭金利より▲年1.7%~最大▲年1.85%とします。
・当初固定金利特約期間は、固定金利特約型(5年・10年)の店頭金利より▲年2.2%とします。当初の固定金利特約期間経過後は「変動金利型」「固定金利特約型(2年・3年・5年・10年)」のいずれの金利を選択した場合も、お借入期間中、最後までその選択時点の店頭金利より▲年1.4%となります。
住宅ローンの比較は難しい、納得するためには専門家に依頼する
住宅ローンの商品を比較するのは、かなりの知識と労力を要すことが分かっていただけたと思います。自分が調べられる範囲で、自分が納得できる範囲で比較するのも大変なことです。自分が調べた情報は不足しているのではないか、自分が考慮した内容に不足があるのではないかと心配になっている方は、是非、住宅ローンの専門家に相談されてはいかがでしょうか。住宅ローンの専門家は、幅広い知識と多くの経験から、あなたに最適な住宅ローンを、あなたが納得できる方法で選んでくれることでしょう。
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