住宅ローンの選び方(その3) 10年で返済する場合
住宅ローンの選び方、(その1)では銀行の選び方について、住宅ローンの選び方(その2)では住宅ローン商品の選び方について説明しました。今回(その3)では、なにがしかの理由で、住宅ローンを借りてから10年間程度で全額を返済する予定の方に、どのような住宅ローンを選択すると得になるのかについて説明させていただきます。
10年間で全額を返済する予定はなくても、子供の教育費用などのために10年間は我慢をしなければならないけれど、10年後には家計の余裕が見込める方にも参考になるのではないでしょうか。
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退職金がもらえる、遺産がもらえる
50歳前後で住宅の購入を検討している場合、もしかしたら、10年後にある程度の額の退職金がもらえるかもしれません。また、ご両親がある程度の資産を持っていれば、それなりの額の遺産を受け取れるかもしれません。このような方が住宅ローンを組むときには、どのような住宅ローンを選べばよいのでしょうか。
総返済額よりも10年間の利息を最小に
一般的に住宅ローンを選ぶときには、毎月の返済額と総返済額が最小になるように考えることが多いと思います。また、金利が下がって得することよりも、金利が上がって家計が破たんしないようにすることを優先して考えれば、フラット35などの全期間金利が固定されている住宅ローンを選択する場合もあります。
それでは、10年後に全額を返済する場合には、どのように考えればよいでしょうか。まずは、毎月の返済額と10年間に支払う利息が最小になるように考えるのがよいのではないでしょうか。
当初10年間の金利を固定する
10年後に住宅ローンの全額を返済する予定の場合、11年目からの金利のことは考える必要がありません。そのため、金利が変動するのは怖いと考えている人にとっても、当初の10年間だけ金利が固定されていれば、住宅ローンの返済期間のすべての金利を固定にしておく必要がないことがお分かりいただけると思います。
ほとんどの銀行で、当初10年間の金利が固定される「固定金利特約型10年」という住宅ローンが用意されています。
「固定金利特約型10年」の住宅ローンを選ぶ時の注意
「固定金利特約型10年」の住宅ローンを選ぶ時には、当初固定期間が終了した後の金利の優遇について十分に確認しておくことをお勧めします。当初固定期間が終了した後の金利の優遇は二通りあり、金利の優遇幅が当初の幅で継続されるものと、金利の優遇幅が当初の幅よりも縮小されるものがあります。通常の場合には、当初固定期間終了後も当初の優遇幅を維持する商品をお勧めしますが、10年間で完済する予定のかたには、あえて当初固定期間のみ優遇幅が大きい住宅ローンをお勧めします。
当初固定期間のみ優遇幅を広げて、返済期間の初期段階の金利を低くしている商品がありますので、この商品を選択すると、返済期間10年間の金利変動リスクはなくなり、返済期間10年間の支払利息も低く抑えられるはずです。
変動金利
変動金利はどうでしょうか。返済期間が35年の場合と、返済期間が10年の場合では、金利上昇のリスクはどのように違うでしょうか。返済期間が10年の場合には、金利上昇リスクを考慮する期間は10年だけになります。例えば、今から5年間は金利が上昇しないと予想すれば、残りの5年間の金利上昇に対して、借入時点の固定金利と変動金利の金利差の2倍程度までは許容できるとも考えられます。
10年後には十分な資産が手に入るけれど、現時点ではギリギリのキャッシュフローで家計を回している方などは、初期段階の金利が最も低く、当初の毎月の支払額が安く抑えられる変動金利型の住宅ローンを選択する方法もあります。
具体的な金利(2018年2月18日時点)
では、具体的に3つの金融機関を例にして、10年固定型(当初固定期間優遇大と全期間優遇)、変動金利型についてみてみましょう。今回は、イオン銀行、住信SBIネット銀行、三井住友銀行を事例として、新規借入時の金利について取り上げています。
●10年固定型(当初固定期間の優遇幅大)
金融機関 | 適用金利 | 店頭金利 |
当初固定期間 |
期間終了後 |
イオン銀行 | 0.69% | 2.90% | 2.21% | 1.60% |
住信SBIネット銀行 | 0.77% | 2.47% | 1.70% | 1.55% |
三井住友銀行 | 1.10% | 3.30% | 2.20% | 1.40% |
●10年固定型(全期間の優遇幅が同じ)
金融機関 | 適用金利 | 優遇幅 |
当初固定期間 |
期間終了後 |
イオン銀行 | 1.10% | 2.90% | 1.80% | 変わらず |
住信SBIネット銀行 | 1.17% | 2.47% | 1.30% | 変わらず |
三井住友銀行 | 1.45%~ | 3.30% | ~1.85% | 変わらず |
●変動金利
金融機関 | 適用金利 | 店頭金利 | 優遇幅 |
イオン銀行 | 0.57% | 2.37% | 1.80% |
住信SBIネット銀行 | 0.507% | 2.775% | 2.268% |
三井住友銀行 | 0.625%~ | 2.475% | ~1.85% |
以下に、金利に関する説明の抜粋を載せておきます。(詳細は各銀行のHPなどの商品詳細説明資料をご覧ください)
(イオン銀行)
・8大疾病保証付きは、適用金利にプラス0.3%となります。
・上記利率はローン取扱手数料が定率型の場合です。定額型の場合は、お借入れ利率が年0.2%高くなります。
・借り換え限定の変動金利のキャンペーンプランは、全期間の適用金利が0.45%となっています。(住信SBIネット銀行)
・当初引下げプランの「当初の特約期間」とは?
「変動金利タイプ」を選択した場合:「お借入れから60ヵ月経過した後の6月または12月(いずれか早い方)の返済日」までを「当初の特約期間」とします。なお、「当初の特約期間」満了前に、固定金利タイプへ切替えた場合も、「当初の特約期間」が満了したものとみなし、金利引下げ幅は小さくなります。
「固定金利タイプ」を選択した場合:固定金利特約期間が当初の特約期間となります。 固定金利特約期間満了後、金利引下げ幅は小さくなります。(三井住友銀行)
・「住宅ローン審査申込アプリ」からの申込なら、追加▲年0.05%引き下げができます。(最後までずーっと引き下げプラン)
・本金利プラン適用による金利引き下げ幅は、お申込内容や審査結果等によって決定いたしますので、ご留意ください。(最後までずーっと引き下げプラン)
・「変動金利型」「固定金利特約型(2年・3年・5年・10年)」のいずれを選択いただいた場合も、お借入期間中、最後までその選択時点での店頭金利より▲年1.7%~最大▲年1.85%とします。(最後までずーっと引き下げプラン)
・表示の金利は保証料外枠方式です。保証料内枠方式の場合、保証料外枠方式に比べご融資利率が年0.2%高くなります。
初めての住宅ローンでは比較するのが難しい
実際に住宅ローンを選択するときには、単純に金利が低い商品を選んでしまってもよいのでしょうか。住宅ローンを借りるためには、金利のほかに手数料や保証料などの諸費用を負担する必要があります。この諸費用は、金融機関ごと、さらには商品ごとにも異なる場合があります。そのため、住宅ローンを諸費用まで含めた支払額で比較しようとすると、かなりの労力を要することになります。
まだまだ少数ですが、このような情報を日々アップデートし、様々なパターンの相談に応えている住宅ローンの専門家が活躍しています。また、数々の住宅ローンの借り入れを支援しているため、住宅ローンの面倒な借入手続にも精通してします。さらに、ある程度の失敗事例も見てきていることから、相談者の家族構成や仕事の内容、さらには今後の経済情勢まで含めた総合的なアドバイスが期待できます。
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“住宅ローンの選び方(その3) 10年で返済する場合” に対して1件のコメントがあります。
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風船が良いですね。