住宅ローン入門講座「いろはにシェンロン」(ぬ)ノンリコースローンとはなんですか? 日本の住宅ローンでも関係ありますか?
お馴染みの「住宅ローンはシェンロン」が提供する 住宅ローン入門講座「いろはにシェンロン」は、正確さは二の次、素人が「なんとなく住宅ローンを理解」できることを第一の目的にしています。
なるべく簡単に説明するため、細かい説明などは省略していますので、「なんとなく住宅ローンを理解」できたら、市販されている住宅ローンの書籍など用いて、更に理解を深めてください。
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(い)住宅ローンはどこで取り扱っていますか?
(ろ)住宅ローンは誰でも借りられますか?
(は)住宅ローンはいくら借りればいいですか?
(に)金利ってなんですか?
(ほ)どのような返済方法がありますか?
(へ)フラット35とはなんですか?
(と)団体信用生命保険(団信)はどのようなものですか?
(ち)繰上返済とはなんですか?
(り)個人信用情報機関とはなんですか?
(ぬ)ノンリコースローンとはなんですか? 日本の住宅ローンでも関係ありますか?
- 目次 -
ノンリコースローンとは
「リコース」とは専門用語で、「償還(しょうかん)」や「遡及(そきゅう)」という意味を持っております。そして、「ノンリコースローン」とは「遡及されない融資」というような意味となり、非遡及型融資と呼ばれる場合もあります。
遡及されないとは、ローン等の返済に対する責任範囲を限定する融資方式であり、ノンリコースローンは責任財産の範囲にあるキャッシュフローを原資とし、その範囲以上の返済義務を負いません。
なんだかよく分かりませんね。
リコースローンとノンリコースローン
リコースローンとノンリコースローンを、住宅ローンに当てはめて考えてみると、以下のようになります。
リコースローンとは: 返済ができなくなったときに、担保を差し出しても住宅価値が残債を下回れば、残りの分を払わなければならないローンのこと
ノンリコースローンとは: 返済ができなくなったときに、担保となる住宅を、借り入れている金融機関に差し出せば、残債に関わらず、それ以上の返済義務を負わないローンのこと
では、日本の住宅ローンはリコースローンです。返済ができなくなったときに、担保を差し出してもだめなら、どうすればよいのでしょうか?
日本の住宅ローンはほとんどがリコースローン
日本の住宅ローンはほとんどがリコースローンとなっています。すでにお分かりの通り、返済ができなくなったら、担保を差し出しても許してもらえません。では、どうすればよいのでしょうか。
担保を差し出しても残債が残るような場合には、残債だけでローンを組みなおして、コツコツと返済していくことになります。
そうなのです、日本の住宅ローンでは、債務者が自己破産して、裁判所が破産免責(債務が無くなる)の決定をしない限り、残った債務を返済し続けなければなりません。
ノンリコースローンのデメリット
ノンリコースローンは、「責任範囲を限定できる」、「万が一返済できなかったとしても、他の事業や資産に影響が及ばない」などという良い面があります。最悪の場合には自己破産しなければならないリコースローンと比べると、格段にノンリコースローンのほうがよさそうです。
では、ノンリコースローンのデメリットを見てみましょう。
ノンリコースローンは、「リコースローンよりも融資条件面では不利」、「リコースローンよりも審査基準が厳しい」と言われています。
なぜそのようなことになるのでしょうか。理由は、当たり前のことです。
リコースローンに比べ、ノンリコースローンは貸し手の金融機関がより多くのリスクを負います。そのため、ノンリコースローンは、「貸出金利が高く設定されている」、「担保となる不動産の審査が厳しい」、「担保価値の70~80%の借り入れしかできない」ということになります。
いまの日本の住宅ローンは、リコースローン型を前提に、「1%を下まわる超低金利」、「頭金なしで物件の100%まで借入可能」、というようなことが起こっています。ノンリコース型の住宅ローンでは実現不可能なことでしょう。
ノンリコース型の住宅ローン 【リ・バース60】
日本にもノンリコース型の住宅ローンは存在していますが、高齢者向けの商品となっております。
代表的なノンリコース型の住宅ローンとして、住宅金融支援機構の「リ・バーズ60」があり、実際には民間の金融機関から「リ・バース60」を活用した様々な商品が提供されています。
【リ・バース60】とは、住宅金融支援機構から提供されている、満60歳以上の方のための住宅融資保険付きリバースモーゲージ型住宅ローンです。毎月の支払いは利息のみで(元利一括返済方式も選択できます)、元金は債務者が亡くなった時に、住宅およびその敷地の売却などにより一括して返済する商品です。【リ・バース60】には、リコース型とノンリコース型があり、ノンリコース型の場合は、債務者の死亡時に物件処分による返済を行なった後は相続人に対して残債務を請求しないこととなっています。
ノンリコース型の金利は高い
いままで見てきた通り、ノンリコース型の住宅ローンは金融機関側がリスクを負うので、貸出金利は高く設定されています。
以下で説明するノンリコース型の住宅ローンの金利タイプは、変動金利です。現在の一般的な変動金利型住宅ローンの金利はほとんどが1%以下で、金利が低い金融機関では0.5%以下となっていることはご存じの方も多いと思います。
このような状況を頭に入れて、読み進めてみましょう。
ひとつ目の事例として、りそな銀行の「リバースモーゲージ型住宅ローン「あんしん革命」」を参考にしてみましょう。
当社所定のローン基準金利+0.0%の変動金利となります。(2019年3月1日現在 年2.475%)
なお、お借入金額が担保不動産の評価額の50%超60%以下(長期優良住宅の場合55%超65%以下)となる場合は、当社所定のローン基準金利+0.5%の変動金利となります。(2019年3月1日現在 年2.975%)
※固定金利選択型や全期間固定金利はご利用いただけません。
①当社を給与振込口座、または年金受取口座に指定されている方は、お借入金利より年0.5%優遇します。
②当社が遺言信託を受託している方は、お借入金利より年1.0%優遇します。
③但し、金利優遇の上限は年1.0%です。
二つ目の事例は、三菱UFJ銀行の「リバース・モーゲージ型 住宅関連ローン」です。
当行の「短期プライムレート連動長期貸出金利」を基準とする変動利率
※借入時の適用利率は、当行の3月1日・9月1日の「短期プライムレート連動長期貸出金利」を基準に、おのおの4月1日・10月1日より変更いたします。ただし、基準金利が年0.5%以上変動した場合、変動した日から1ヵ月後の応答日より適用利率を変更する場合があります。
※借入後の適用利率は、4月1日・10月1日現在の当行の「短期プライムレート連動長期貸出金利」を基準に年2回変動し、それぞれ6月・12月の約定返済日の翌日より適用利率を変更いたします。
(2019年3月1日時点では、三菱UFJ銀行の「短期プライムレート連動長期貸出金利」は 1.975% となっています)
今まで見てきた通り、現状の日本のノンリコース型住宅ローンは、借り入れ後の収入があまり見込めない高齢者向けの商品で、一般(リコース型)の住宅ローンと比較して少し高めに金利が設定されています。
ノンリコースローンについて、少しは理解が深まりましたでしょうか。まだ、お若い読者の方は、こちらの記事も参考にしてください。
親の住宅を活用した子世帯のマイホーム資金 【リ・バース60】の活用
以上で、「いろはにシェンロン」の(ぬ)を終了します。内容を十分にご理解いただけたでしょうか。
よく理解できなかったことは、住宅ローンのQ&Aサイト「教えてシェンロン」で質問できますので、是非お試しください。
では、次回「いろはにシェンロン」の(る)で、お会いしましょう!
~ おまけ67 ~
家だけを
建てる男の
つまらなさ
知りつつそれを
君は望めり
~ おまけ66のもと ~
ゆめのように
からっぽだけど
遊園の
ティーカップにふる
春のあわゆき
(加藤治郎)
『しんきろう』
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